LM3886DC結合化について
LM3886DC結合化すると、オフセット電圧が、ゲイン倍の出力になって スピーカーに印加されます。
特に、入力オフセット電流の影響が大きいようです。
こちらはLM3886の日本語データーシートです。
3ページ目の電気的特性を見て頂くと、
IB( Input Bias Current)の最大が1μAとなっていますね。 この1μAが問題なのです。
「たった1μAじゃん」と思われるかもしれませんが、
前のページにあった、AC結合の回路図を 見ていただければ判りますが、この1μAは R5の22kΩに流れて
LM3886の9ピンには、22mVの電圧が発生します。
AC結合であれば、直流ゲインは"1"なので、スピーカー端には、22mVの電圧が加わることになります。
このくらいの電圧であればスピーカーは歪むこともありませんし、壊れることもありません。
しかし、DC結合の場合はゲイン倍になりますので、回路図では(R3/R4)+1の 23倍ですので
約0.5Vの電圧がスピーカーに印加されます。 これは大きな電圧です。
僕なら0.1V以内にしたいですね。
R5を 5分の1にすれば、0.1VなのでOKなのでしょうけど、入力インピーダンスが4kΩになってしまい、
非力なプリアンプでは、ドライブ出来ないかもしれません。
(今思いついたのですが、LM3886を低入力抵抗にして電流ドライブしても面白いかも)
と言う事で、LM3886DCアンプにはオフセット調整が必須です。
んで、ここまでの回路図がこれ
■もう一つ気になった事の一つが 「温度ドリフト」でした。
ドリフトについては、データーシートに書かれていませんでしたので、実機テストするしかありません。
そこで実験です。
放熱板から外してわざと発熱させ、60℃まで温度上昇させました(室温21℃)。
ここまですると、ICは熱くて触れません。
それでも、スピーカー端では 最大-10mVの変化でした。(アンプゲイン20倍 8Ω負荷)
ということで、普通に放熱板に取り付けて、スピーカードライブするくらいでは、問題ありません。
■実際に、この回路で動作させた所、まだダメな所が出てきました。
それは、R1につながる音量調整用のボリウムです。(回路図には書かれていません)
ボリウムは100kΩを使ったのですが、ボリウムを回転させることで、抵抗値が変わってしまい。
そのたびにスピーカーに加わる直流電圧が変化します。
(バイアス電流1μAがVRに流れる。VRの抵抗値は変わるので、出力のオフセット電圧も変化する)
やっぱり、オペアンプなどを使って低インピーダンスドライブしないとだめのようです。
と言うことで、次の「LM3886DCアンプ回路」をご覧ください。